5月2日 石巻 まちの本棚のこと

[[]]明日5月3日は不忍ブックストリート一箱古本市。私はホーム谷中の前に出店する、まちの本棚の店番を、一箱本送り隊のみんなとする。

石巻まちの本棚は、2013年7月に石巻の中心商店街、アイトピア通りに オープンした、本のある交流スペース。もともとは、震災前に閉店していた、本好きに愛された新刊書店「耽書房」のあった場所だ。

詳しくは、こちら。こんな気持ちのいいスペースです!
http://bookishinomaki.com/

私はオープンの前から、間接的にお手伝いしているのだけど、2年前のオープニングでの印象深いエピソードを書いておきたい。

2日間のオープニングイベントの初日はあいにくの豪雨。もともと人通りの少ないアイトピア通りは閑散として、来たのは関係者と地元紙「石巻かほく」の取材ぐらい。

雨の少し弱まった2日目は、午前中から、「かほく」を読んだであろう、年配のご夫婦などが、ぽつりぽつりと尋ねてきた。 私は奥に座り、訪れてきた人たちの様子を眺めていた。

本棚に並べられた本を眺めながら、ときおりどこかを指さしながら、話すご夫婦。
スペースをぐるっと見回して、もの思いにふける女性。

と、気づいた。彼らは本を見ているのではない。「耽書房」の面影を探しているのだ。この辺りに雑誌のコーナーがあったね、毎月『りぼん』の発売日には買いに来たなあ、というように。

私は鳥肌が立つような感銘を受けた。そして、ここが本のある場所でよかった、と心から思った。石巻の町の記憶を呼びさます場所となることができて。

町の本屋の果たす役割というものも考えさせられた。たんに本を売る場所ではなくて、人の人生に寄り添い、町の文化を作っていく場所じゃないか、と。情報の少ない東北の町ではなおさらだ。

今年も7月に、北上川の川開きとあわせて、まちの本棚を中心にした石巻の町で、一箱古本市が開かれる。仙石線も開通したので、去年よりアクセスが良くなった。

まちの本棚でこれから、本をとおして、どんな新しいコミュニケーションが生まれていくのか、この場所が町の復興にどう寄り添っていくのか、年に一度は通って、興味を持ちつづけていこうと思っている。