4月21日 懐かしい異国

「恋恋風塵」をついに観た。六本木シネマートの台湾映画特集で。

非情城市」をリアルタイムで観た大学生の頃からずっと観たいと思いつつ、かなわなくて、いつくかのシーンはあまりにも知っているので、観たような気さえしていた。

スクリーンでちゃんと観ておいてよかった。子供の頃住んでいた県営アパートとか、上京したての頃のこととか、自分のことを思い出しながら観た。風景がけっして似てるわけじゃないのに。人と人との関係が、その頃と似ているからなのか。

台北郊外の炭鉱街に育った幼なじみの少年と少女のストーリー。「許嫁」というわけでもなく、お互いを「彼氏」と「彼女」と紹介するわけでもなく、もちろんプラトニックで、でも、いつも少女は少年を頼っていて、少年は少女を心配している。周囲は二人は結婚するものと思っている。ひと昔前の幼なじみの二人ってこういうものなのかな。

少女が少年の兵役中に別の人と結婚したあと、街に帰った少年は、少女が仕立てたシャツを着ていた。あの心情はどのようなものだったのだろう。

非情城市」につながる日本統治時代の歴史も示唆的に描かれていたし、「映画との出会い」なんてテーマも隠されていたと思う。もうちょっといろいろ勉強してから、また観たら、発見がありそう。

シネマートのある六本木の裏通りは、キャバレーや怪しげな中華料理屋が並んでいて、コンビニの店員も中国人だったりして、香港のチムシャツイにいるような錯覚におそわれた。こんな気分になれるから、ときどき知らない街を歩くのが好き。