4月9日 ユング、ふたたび

心理学関係の本はずいぶん前にすべて処分してしまったので、図書館から河合隼雄の本を借りてきて、ここのとこ読んでいる。『ユング心理学入門』や、谷川俊太郎との共著『魂にメスはいらない』、村上春樹との対談『村上春樹河合隼雄に会いに行く』など。

『魂にメス はいらない』は、たしか、大学生の頃、ユングに興味をもちはじめて最初に手にとった本。あらためて読むと、「こころの時代」とか言われた、カウンセリングブームの少し前、世の中ちょっと浮かれてた時代に、深層心理学に初めて触れた新鮮さがよみがえってくる。このときから、6、7年後、ユング派の教育分析を受けることになるんだから、すごく影響を受けたのだろう。

分析はいろんな事情で8ケ月で終了(その後半年以上、後遺症、いや、必要な過程、で苦しむのだけど)。その間に心理療法家をめざして受けた夜間の大学院の受験に失敗、夜間大学院に通うからと、残業がないという条件で派遣で働きはじめた銀行だけは、会社を2つ変えながら今も続けている。「向かない」と公言しながらもね。

なんだか私の人生にとって、重要なポイントだったんだな。
スクエアに生きることを選んだ、みたいな。

が、しかしっ!
自ら望んで、その危険性を知りながら、探求の途に立った広大な無意識の領域は、そこにダイレクトにアクセスしてないとしても、けっして「なかったこと」にはできないものだ、と今さらながら思う。「なかったこと」にすると、全体性を欠いてしまう。だから、私はいつも満たされなかったのだろう。

心理療法家になることはたぶんもうないと思うけど、 ユングをこころの師匠にして、残りの人生を豊かにすること、考えていこうと思う。 現実社会を生きることと、ユング的に生きることは、けっして対立するものではないと、今は理解できるから。

ユング先生、また、よろしく。
私も若い頃よりずっと強くて、ちょっとは賢くなりました。