3月6日 晴れ

食のワークショップ、すごく良かった。心が洗われた感じ。精進料理の話ももちろんおもしろかった。道元が書いた『典座教訓』という教科書的な本があることも初めて知った。でも、なにより心に響いたのは、スタッフの曹洞宗の若いお坊さんたちの澄んだ目と真摯な人に対する姿勢だ。

参加したのは20人ほど。最初はやはり雰囲気が堅かったのだけど、テーブルごとの自己紹介や感想を話し合うほんの短い時間の中で、関心が同じということもあると思うけど、グッと親密な空気が生まれたのは、スタッフの方たちの真心があったからだと思う。同じテーブルに座った60代の女性が食に関心をもったのは、ご主人が病気(たぶんガン)になったことがきっかけだと話してくれた。ご主人は去年なくなられたそうだけど、たいして深い話をしたわけでもないのに、それだけでウルッときてしまった。

たぶんまだ20代であろう、お坊さんが最後に話してくれた言葉。「精進料理とは惜しみない真心です。相手を思いやる心です」。「真心」。それだけで料理も美味しくなるし、こんな温かい交流も生まれる。袖触れ合っただけの出会いであっても。