7月3日 晴れ。夏の暑さ

水曜日、イタリア文化会館というところであった、イタリア人ジャーナリスト(名前忘れた)が出した『放射能という津波』という本の出版記念シンポジウムに行った。田口ランディと桜井南相馬市長も出るからだ。

九段にあるイタリア文化会館に入ってびっくりした。ほとんどがイタリア人。「ここ日本?」って感じだったからだ。受付でおそるおそる「今日イタリア語でやるんですか?」と聞いたら、同時通訳もつくというので、トランシーバーみたいなのを借りた。

まず、震災直後から被災地に入って、ジャーナリストが撮った30分ほどの番組が上映された。日本のテレビでは映されなかったという、死体安置所や原発の危険区域の映像もあった。タブーがなくて、これが世界のジャーナリズムなのかな、と思った。

シンポジウムにうつって、作業服姿の桜井市長が紹介されると、拍手がやまなかった。

桜井市長については、なんとなく知ってる程度だったけど、話を聞くうちに、すごい人なんじゃないかって思った。国や県の指示に逆らって、家畜を保護する政策を実施していたのだそうだ。「命を守ることが最優先だ」として。終始穏やかな語り口で、国や県を攻撃的に批判することもない。今市長であることは、「いい時間を与えられている」と。ただ、市民のことを語るときは、ちょっとだけ力がこもっていた。「南相馬市民はズタズタにされた」と。

うちに帰って、Youtubeで市長の動画をさっそく検索。「現代の宮沢賢治」とも言われているらしい。たしかに。話を聞きながら、何か大きな思想的な背景を感じたからだ。そうじゃなきゃ、この難局を「いい時間」だなんて言えない。実際、市長も賢治に憧れて、岩手大の農学部を出たのだそうだ。

今日オオカワさんに教えてもらったのだけど、市長は「ニューズウィーク」の世界に影響を与える100人にも選ばれているんだって。

久しぶりに心から尊敬できる大人に会った。